◆ 外資のエリート女性と多様性

前回女性は起業などでハイリスクハイリターンを選ぶ人が少ない(から突き抜けて成功した人も少ない)みたいなことを書きました。そんな結論を言うと、「女のお金持ちが少ないのは自業自得って言いたいのか」と怒られちゃいそうですが、勿論、一般的に指摘される理由通りに「女性が働きづらい」面もあるとは思います。

で、例として見つけたのが今回の方。欧米から来た方で、とある外資金融企業でバリバリ働く女性のお偉いさんです。子供は数人いてデスクに写真を飾っています。旦那さんも同じ職場の違う部署のお偉いさんで社内恋愛で結婚したんだそう。日本にも家族揃って海外転勤してきました。

この方は本国から雇われている駐在員なので年収は国内雇用の数倍。その代わりブラックベリーとノートパソコンを常に持ち歩いて、いつでもどこでも連絡が取れる仕事中心の生活をしています。

一方で上に書いたように結婚して子供がいるわけですが、育児と家事はというと、子供の世話はシッターさんが毎日やってくれていて、掃除洗濯などの家事は週に何度かハウスキーパーにお願いしているんだそう。料理に関しては本人は「パンにバターを塗るのと、電子レンジの温めしかできない」というのが口癖というかちょっとした自慢。包丁も使えません。

日頃の食事はどうしているかというと、基本は外食か惣菜だそうな。子供の食事はシッターさんがやってくれるけど、自分たちは一緒に食べて帰るか、スーパーなどで買って帰るかだそう。

「夫と同じ職場で同じように仕事をしているんだから、家での役割も同じ」だと言ってます。

徹底してます。外資だと会社で提携していたり上司などの紹介で、短時間も含めてシッターさんやお手伝いさんにお願いしているという人は多いですが、さすがにここまでの人はあまりいません。

ここでポイントは、本人がやらないのと同時にパートナーである旦那さんもそれを受け入れているってこと。自分が作らないんだから、相手に料理しろなんて言わない。育児も掃除洗濯もやる時は一緒にやる。そして「無理なら外注すればいい」で一致している。

外資のエリート女性
元々、外資系企業などでは「ダイバーシティ/多様性」なんて言って女性やマイノリティの人やいろんな人が働きやすい職場にしようという活動も盛んです。加えて最近は日本でも共稼ぎが増えてきて、欧米型のパターンを見習おう、などと言われ始めてます。

この方もそういったディスカッションに呼ばれたり、社内組織の役員に任命されたりしているそうで、日本と欧米の差について目にしたり気づいたことを発表する機会も増えているとのこと。そしてそういう場では、「自分が仕事で成功できているのは、家のことを外注していることと、それが受け入れられる環境にあるから」と答えるんだそう。

一方で、「女性に限らず夫婦共稼ぎでフルタイム働いて、更に家事もやろうとするのは無理がある。特に日本は完璧を求めすぎる」と言ってました。

特に毎日の食(料理)に関しても、レンジでチンしかしない人から見たら、和食の出汁とって味噌汁を用意して、ご飯におかずを何品も。それを毎晩、続けて当たり前というのが、当たり前じゃないと驚くとか。

仕事に全力するなら一方で何かが犠牲になるのは仕方がない。欧米に限らずアジア圏でも屋台が発達しているので、共稼ぎの家では外食の率が高い。けど日本はスーパーの惣菜を使うのも手抜きとか悪いイメージをもたれるからおかしいと。

まあその辺は、日本でも手抜きは増えてるし、そもそもの健康と食に関する意識の違いもある気はするけど、一貫しているのは、全部背負うのは無理というのと、家庭・家事に関する意識についてでしょうか。


バリバリ働く人がこういうことを言うと、「家庭をないがしろにして稼げってこと?」と取られそうですが、この方自身の発言は「私は仕事のキャリアを優先してるからこそこういう生活をしているだけで、家族の健康を第一に考えて家に残る選択をしている人も欧米だって大勢いるし、いろんな選択肢もある」だそう。

日本人が見る、ドラマの中のエリートや欧米から来てバリバリ働いている人たちは、向こうの国の全体で見たら少数派だけど、その少数派の人たちは日本にまで稼ぎに来るから目につく。一方で欧米の専業主婦(主夫)の人は日本には来ないから、目につかない。見えるものを全体だと誤解してはいけないとも言ってました。

確かにドラマになったり日本に来るのは本国で上り詰めたエリートばかりですから、そこだけを見て向こうの女性はみんなこんななの!と思ってはいけないと。

勿論、国や時代によって共稼ぎが多いとか、男女の役割分担が決まってるとかの偏りはあるだろうけど、固定観念がなくなって男女の協力ができるようになれば、女性の社会進出も増えるし、男性が主夫になることも受け入れられるようになる。それが多様化の目指すところです。

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で、最初の話に戻れば、日本で女性のお金持ちが少ない点のひとつとしては、今更書くまでもなく、仕事をしつつ家のことも全部やれと言われても無理というのがあると思います。設備も人の意識もまだ追いついていない。

キャリアのために独身で仕事一筋になるか、共稼ぎでそこそこを維持するか、もしくは役割分担をして家庭重視にするか。最初は両立を目指していたけど無理だったとか流動的な例はあるでしょうが、大多数がその三択の中にいる。

そんな状況を改善するために、今回の例の女性のように「バリバリ働く代わりに家事育児は外注。パートナーも受け入れてくれている」と割り切った人を増やせば確かに社会進出率は向上するかもしれない。実際、最近言われている主婦も働いて移民のシッターを増やすみたいな政治案は、それに近い気がします。

ただその案は、主婦が働く代わりにシッターに代替させるという女性の労働力だけをピンポイントに狙っているので、男性側の意識や選択肢は何も変わっていない。そういう意味では一億総労働化なだけで、多様性ではないなと思ったりします。

女性のお金持ちを増やすなら、同時に男性の主夫も増やさないと。……って国はそもそも多様化は目指してない?





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