◆ 自分のお金じゃないから…

過去にも二代目社長さんや財布も持たないというとんでもないお嬢さんの話などを書いたことがありますが、今回はまた別のお金持ちの家に生まれた方の話です。

この方の家は代々続く資産家の一族で、親戚には政治家もいるという環境です。広い庭付きのお屋敷に住み、生まれた時から家にはお手伝いさんと運転手さんもいたそうです。それなのに「子供の頃は自分の家は貧乏だと思ってた」と話してくれました。嫌味かい!とツッコミそうになりますが、親戚のところより家は狭いし、お手伝いさんも一人だし、何より母親が「お金がない」とことあるごとに言っていたからだそうな。

実際、記憶にある暮らしぶりも地味で、衣服はお兄ちゃんか親戚のお下がり。食事も和食主体で、ハンバーグとかカレーとか(その方の子供当時の流行の)洋食はお祝いの時だけ。おやつはふかしたお芋とか、お餅を揚げて砂糖をまぶした手作りかき餅だとか、ナチュラルと言えば聞こえがいいような感じのもの。クッキーなんかお客さんが持ってきてくれる時しか食べられなかったし、ケーキは子供たちの誕生日に出るくらい。

まあ昭和時代はお金持ちも庶民の家もどこもそんな感じだったのかもしれませんが、思い出しても質素な生活だったそうです。

一方で通っていた小学校はやっぱりお金持ちの友達が多かったそうで、休みのたびに海外へ行ったりブランド物を持っている(小学生で…)子もいたそうで、そういう同級生と比べてもやっぱりうちは貧乏なんだと思っていた

ま、お金持ちばかりいる環境にいたせいで、そもそもの基準が庶民と違っていたって感じですな。

そのためこのお金持ちは、物心ついた時から家族のために節約を心がけ、お小遣いやお年玉を貯金して生活のたしにとお母さんにあげたり!、友達がゲームやらおもちゃを自慢していても、「欲しい」と言うのは我慢したり、子供ながらに家計のことを考えて育ってきたそう。小学生の頃の文集には既に、「大人になったらお金持ちになってお母さんに楽をさせてあげる」とか書いていたとか。ちょっと泣ける話です。

それでも中学、高校と大きくなるにつれて、学校の同級生には庶民組も混じり、広い世界を見るようになって、どうやらうちは本当の貧乏ではないらしいと気づいたそうです。そして大学に入る頃くらいには、「どうしてお金がないってずっと言ってたの?」と親に訊ねるまでになっていたそうな。

そこでの母親の返答は「あなたのお金じゃないから」と一言。どういうことかと聞くと、「自分で稼いでいない子供が、親の稼ぎをあてにして贅沢を身に着けてもろくなことにならない」と答えたそう。「贅沢したかったら大人になって自分で稼いだお金でしなさい」だそうで、身も蓋もない正論です。

まあ、使っても使っても使い切れないくらいのお金持ちもいますが、代々の資産家などは先祖からのものを維持することも大切だったりするので、そういう考え方になるんでしょう。

別の資産家の方も、土地や建物や資産がたくさんあっても、固定資産税に相続税にと税金の心配ばかり。今も税金のために働いているようなものだと言っていました。代々の資産だと今の代で終わりじゃないので、自分たちのものであっても自分たちの自由にできない。見た目の資産があっても、それが全部使えるわけじゃないと。

自分のお金じゃないから…
そんなわけでこのお金持ちは、贅沢するために、いい大学へ行って一流企業に就職して、そこから独立して自分の代でお金持ちになったそう。そこでようやく「自分のお金で欲しいものを堂々と買えるようになった」と言っていました。親のお金だとどうしても後ろめたさがあったんだそうです。

この方は長男ではなかったため、資産は兄たちが受け継いで自分は外に出てしまったというのも、独立して成功できた理由のひとつだったとご自分で言ってましたが、なんにしても親の言いつけをちゃんと守って達成できているのはすごいですな。

まあ、前の話でも書きましたが、生まれながらのお金持ちの話はこれからお金持ちを目指す庶民にはあまり参考になりません。ですが今回の方は、それだけでなくて自分でも努力をしてお金持ちになったという例でした。





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