◆ [本]自己暗示/日に日に、あらゆる面で、ますます私はよくなっていく

タイトルは有名なエミール・クーエの暗示公式です。そして今回取り上げるのは、クーエの自己暗示の本。これは世にたくさんある「潜在意識でどうの」系、「願えば叶う」系のベースになっていると言っても過言ではないかと思います。

とは言っても初めに書いておくと、この本には「潜在意識のおかげでお金持ちになれるとか、年収がアップするとか、宝くじが当たるとか、復縁できる、素敵な恋人が見つかる、成功する」みたいな、オカルト系棚ボタの方法は一切書いてありません!いくら暗示をかけても不老不死にはなれないし、できないこともあるってこともちゃんと書かれています。


出版元が法政大学出版局の心理学ジャンルってとこからも怪しい潜在意識系の本ではないと分かるかと思いますが、元は暗示による心理療法の本なので、自分や周囲の人の心身の病気や不調を治すとか、心と身体の繋がりの範囲で書かれています。そういった意味では地味ですし、前回の病因論的な一面もあるかもしれません。

直接にお金持ちとは関係ないのに今回、改めて取り上げてみたのも、前回の「歯が痛い」中で、この本を思い出したから。

本文に、激しい歯痛で唸ってる人に、あなたの歯はもう痛くないよって慰めても何の役にも立たないし、それどころか「痛い」事実を受け止めてますます痛くなるよ!みたいなたとえがあるのです。でも痛いという事実を無意識が認識しないくらい早く「治る治る治る」って唱えたら痛いのは消えるよ!って手法も紹介されてますが、それ試して痛いのが消えたことないです、私。。。

クーエは元々薬剤師でしたが、ある時、この薬は絶対効くんだからと言って、期限切れで効果が無くなっている古い薬を強引に買っていったお客(患者)さんがいました。効くはずないのにーと思ってたら、その人は「あの薬はやっぱりよく効きましたよ」と後で言ってきたんだそうな。

そこでクーエも薬そのものの効果と同時に、治すという気持ちが重要だと気付いて、そこから薬剤師をやめて暗示の療養所を作って有名になったんだそうです。効かないはずの薬が効いたってのは、プラセボ効果ってやつですな。

さて、そんなクーエさんの手法をまとめたのがこの本ですが、中は三部作になってます。第一部はC・H・ブルックスという人が書いているクーエの自己暗示療法についての話。クーエの療養所での患者さんの実録や、無意識についてのまとめと、暗示について、このパートでほとんどクーエの暗示の概略は理解できます。そして第二部、第三部はクーエ自身が書いてます。でもこっちはおまけみたいな感じ。

・ある考えが精神を独占してしまった場合、その考えは実際に、肉体的もしくは精神的状態となってあらわれる。
・ある考えを意志の力でおさえようと努力すれば、その考えをますます強めてしまうだけである。


最初の頃にこんな自己暗示理論の概要というのが出てきます。前者は病は気から。後者は上の歯痛のパターンです。

第二部では、クーエ自身がこんな風に書いてます。

・意志と想像力が反目する場合、勝つのは常に想像力の方で、例外はありえない。
・意志と想像力が相争う場合、想像力の力は、意志の力の二乗に正比例する。
・意志と想像力が同調している場合、そこから生ずる力量は、両者の和によってでなく、積によってはかられる。
・想像力は誘導可能である。


これだけ読むと小難しい感じですが、本の方は実例も出ているのでもう少し読みやすいです。またこの理論は、あちこちの暗示の本でも出てくる無意識(潜在意識)の基本的な部分なので、そっち系の本とか好きな方も、基本を押さえる意味では読んでみて損はないかと思います。


クーエの暗示には、病気や問題そのものを治すための特殊暗示と、タイトルの一般暗示があります。特殊暗示は対症療法ですが、「日に日にあらゆる面で~」の一般暗示の方は健康かつ平和で幸せに暮らすための暗示です。

まず紐に結び目を20くらい作っておきます。寝る前と寝起きの目を閉じて身体の力を抜いた状態で、その結び目をたぐりながら、声に出して「日に日に、あらゆる面で~」と努力しないで唱える。――これがクーエのメソッドです。

日に日に、あらゆる面で、ますます私はよくなっていく。
Day by day, in every way, I'm getting better and better.


この構文は、「あらゆる面」と汎用性を持たせたことで、痛い時のように病気の種自体に目を向けさせて痛い現実を強調することもなく、また未来の病気の種も摘んでくれる計算された文言です。

いちいち呼吸や脈拍を意識していないように、お腹の中で育っている病巣なども人は意識していません。それらは無意識レベルの管理下にあります。なので、そちらに呼びかけ・暗示をかけることで、「無意識」に未来の病巣を摘ませる。それが病の予防につながるというわけです。

またこの暗示は、イライラや憂鬱なんかの気持ちの不安定さや精神の病にも対応していて、毎日唱えることで穏やかで幸福な気持ちにもなれるそうな。なので元気な時も毎日唱えて予防しよう!

本を読んだ時には、なるほどーと試してみるものの、そのうち忘れてしまう私。そして具合が悪くなってまた思い出すと。喉元過ぎれば熱さを忘れるってことわざのまんまです。


手法に関しては、寝る前・寝起きの力を抜いた状態で唱えるのは、できるだけ「意識しない」で暗示にかかるため。ぼんやりと夢うつつのいわゆるトランス状態で暗示を行うわけです。

また「努力しない」というのは、上の「ある考えを意志の力でおさえようと努力すれば、その考えをますます強めてしまうだけである」意志の言いかえです。頑張って努力して治そうと意志の力を使うほど、ますます痛くなる。だからできるだけ意志が反応しないように、努力しない

ちょっと思ったけど、ワクワク楽しいことを考えるだけで成功が降ってくる系の話は、この「努力しない」の意味を「何もしない」と訳しているんじゃないかな?

まあ、いずれにしても、この辺の暗示構文に関する記述や手法は、潜在意識で願い事をしたい系の人にも応用が利くのではないでしょうか。


ついでに言うと、この本では心身の健康を求めての「あらゆる面」ですが、これを拡大解釈して、健康とは人生にも成功してお金があってモテモテで…みたいにしていくと暗示で成功する系の話につながったり?

まあ私は理屈っぽいので直接相手に暗示をかけるならまだしも、祈ってくじが当たるとか好きな人が振り向いてくれるとかの超能力的なものは、潜在意識といえども無理なんじゃないのーって思ってしまうので信じ込めませんが、信じ込めたら叶ったりするのかもしれない?!

と、オカルトは抜きにしても、クーエ自身もこの暗示で幸福も定住させることができると言っています。その幸福を心身の健康だけでなく「お金があって心が満たされている」状態でもあると定義できたら、少なくともお金持ちな状態は引き寄せられたりできるのかもしれません?!!!!





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